2008年5月21日水曜日

西田幾多郎の生涯

 哲学を勉強している息子が京都哲学に関心を持っていることから 私までが影響を受け昔読んだ本を持ち出し読みふける.西田幾多郎が自分の生涯を振り返って 私の生涯はきわめて簡単なものであった。その前半は黒板を前にして坐した。その後半は黒板を後にして立った。黒板に向かって一回転をなしたといえば、私の伝記は尽きるのである。と言った。我が息子ながら彼の勉強ぶりや 日常生活を観察するにそういう人生を過ごすのだろうかとふと思う。
 母親というのは不思議なもので 自分の子供の成長過程を目のあたりにするのにもかかわらず大丈夫なんだろうかと不安になる。彼がウォールデンを読みふっけっている時は もしかしたらどこぞの森へ深く入り込み 社会生活からドッロプアウトするのではないかと思い、アイルランドの作家に夢中になっている頃は 過激な方向に進むのではないかと心配した。私の血族は何故だか黒板を後にした仕事をする割合いが多いので 教師、これに関しては何の不安もない。ただ一人ぐらい金儲けの出来る人が現れてもいいのではと 期待しているのだがどうも実現の可能性からは遠いというのが家族一致した意見のようだ。

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