2009年1月18日日曜日

オバマ新大統領の就任式を前に

 就任式まで後2日、アメリカ中の関心が歴史的なイベントにむけてたかまってきている。高額で就任式のチケットが取り引きされているらしい。世相が世相なので 新大統領によせる国民の期待というか希望を一気にひき受けなければ彼の立場を考えると このお祭り騒ぎが次ぎにくるであろう混沌の時代を想像させ喜んでばかりいられない。
 大江健三郎の万年元年のフットボールを再読した。万年元年の一揆でことごとく痛めつけられ疑り深くなっている転換期の農民達と時代を経て その子孫の 鷹四、蜜三郎等を中心に新たなる村の改革の騒動が繰り広げられる。兄弟でありながら どこでどう生き延びたかが違いを生み出す。都会的 土着的、戦後の経験 明治以降百年の経験、二つの流れが複合する事無く、それぞれが歩き出す。それでも皆の思いは 小説のかきだし 夜明け前の暗闇に眼ざめながら、熱い期待の感覚をもとめて、辛い夢の気分の残っている意識を手探りにする。 鷹は死に 蜜は生き残り続ける者らに向かって叫ぶべき 本当の事をみきわめていない事に気が付く。40年も前に書かれたこの本は 大江氏自身も乗り越え点としての作品といっている。時代を超えて人間の本質にせまる。 新大統領の就任式を前になぜだか この本を再読した。

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