2008年4月19日土曜日

思い出2 

 久しぶりに妹と電話で話す。近況報告をかねての会話はいつも楽しい。
私たち兄妹はテレビと無縁で育った。私達にとってのエンターテェメントといえば 本を読む事、家族との会話、日曜日の朝の母が焼くリンゴパン、お散歩と称して皆で歩く朝、父の帰りを待つ間の母の壮大なスケールの創作物語 延々と何日にもかけて続く河童の家族の遠征物、支那を舞台の父と母の愛の物語、食事の後の大コーラス( 時折ご近所に住んでいた小学校の先生方まで飛び入り参加。)よく歌を歌った。
 そして何より私たちにインパクトを与えたのは 父のBED TIME STORY 。去年の夏 兄と話していたらこの話になりもりあがった。父は私たちに 芥川龍之介の ”蜘蛛の糸”を繰り返し話した。カンダタが主人公のお話で 地獄に堕ちていた彼を お釈迦様が救おうとするのだが自分だけ助かりたいと言う気持ちが 極楽への道である 垂れ下がった蜘蛛の糸を切っててしまい 地獄にまっ逆さまに落ちてしまう。カンダタは悪い事ばかり生きている間やったが 一度だけ道にいた蜘蛛をふみつけず 助けた事があった。人間はどう生きるべきであるか、自分だけがという考え方が自分を不幸にしてしまうぞと 父のお話は終わる。きっと 私の兄も妹も自分の子供たちに この話をしたに違いないと確信している。

蜘蛛の糸. 芥川龍之介. 一. ある日の事でございます。 ... 御釈迦様はその蜘蛛の糸をそっと御手に御取りになって、玉のような白蓮(しらはす)の間から、遥か下にある地獄の底へ、まっすぐにそれを御下(おろ)しなさいました。 ...

1 件のコメント:

Sawa さんのコメント...

ご両親をはじめ、ステキなご家族ですね~。テレビがない暮らし、憧れるけど、私だとネタ切れして続かない。。家族とのよき思いでは、本当に、各人の宝だと思います。シェアしてくださってありがとうございました。