2008年6月10日火曜日

DEADEYE DICK

Deadeye Dick

 ヴォネガットのDEADEYE DICKを読み終わる。アメリカの現代作家の本で読みたいリストの上位にあった本。現代社会のイノセントな魂が暴力的に踏みにじられる 悲惨さを彼特有の文体で表現している。大江健三郎が”小説のたくらみ、知の楽しみ”のなかで叫びたい様な悲痛を彼独自の叫びたい様なおかしさとないあわせて表現していると 書いていたけど。
 ストーリーの中に 事故で中性子爆弾がが爆発し建物や機械はどれも無傷で残るが人間は全滅してしまう町がでてくる。主人公のルーディが少年時代ライフル銃を掃除していて 誤って妊娠中の婦人を射殺してしまう。その経験が去勢された様な人間にしてしまうのだが。奇妙な恐怖感が読んでいる私に生まれてきた。中性子爆弾にたいする悪夢。ライフルを掃除していた塔が 光の中でその町を訪れた日本人の目に富士山のように見えたと言う箇所がある。それが日本における広島とか長崎の歴史を読者に思い起こさせる。日本語版も読んでみたいと思う。

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